ウインクリューガー

ウインクリューガーとは、日本競走馬種牡馬である。タイキシャトルの産駒として初の重賞勝利、そしてGI勝利をもたらした。近親にディープインパクトがいる。当歳時のセレクトセールで2700万円で落札された市場取引馬である。

ウインクリューガー
2007年4月1日 中山競馬場
欧字表記Win Kluger
品種サラブレッド
性別
毛色栗毛
生誕2000年2月13日(24歳)
死没(存命)
抹消日2007年11月20日
タイキシャトル
インヴァイト
母の父Be My Guest
生国日本の旗 日本北海道静内町
生産者橋本牧場
馬主(株)ウイン
調教師松元茂樹栗東
競走成績
生涯成績31戦4勝(中央、うち障害2戦1勝)
1戦0勝(地方
獲得賞金2億524万8000円
勝ち鞍
GINHKマイルカップ2003年
GIIIアーリントンカップ2003年
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戦績

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2002年秋の京都競馬でデビュー。この新馬戦を勝利した後、オープンの萩ステークスに挑戦したが、4着に敗れる。翌2003年の白梅賞では、後のクラシック2冠馬ネオユニヴァースと0.1秒差の好勝負をするが、斜行により5着降着となった。この戦いが評価され、次走のこぶし賞では1番人気に押されたが、11着と惨敗した。

次の500万下競走が、同馬にとっての2勝目となる。そして次走、アーリントンカップで重賞初挑戦。7番人気だったが勝利で飾る。これがタイキシャトル産駒にとって初の重賞勝利となった。

続く毎日杯では2000mの距離が合わず8着に敗れ、迎えたNHKマイルカップは9番人気。レースでは2番手を追走し、最後は追い上げるエイシンツルギザンを振り切って勝利。タイキシャトル産駒として初のGI制覇を達成した。

だが夏の休養を明けるとその栄光から一転、惨敗続きとなる。2004年の3月には、22日に地方高知競馬黒船賞に出走し、中5日で高松宮記念に出走するというショック療法的なローテーションを行ったりもしたが、復活の兆しは見えなかった。

2005年2月の阪急杯では、主に先行だったこれまでのスタイルと異なり、後方からの競馬を見せる。結果、NHKマイルカップ以来、10戦ぶりの複勝圏となる3着に好走。上がり3ハロン33秒8はメンバー中最速、同馬にとっても過去最速の速さであった。しかし、続く高松宮記念では、同馬のGI出走で過去最高の5番人気に推されたものの、10着と惨敗した。

2005年の末から2006年の初めにかけては、12月25日の2005ファイナルステークス1月5日京都金杯1月14日の淀短距離ステークスと、中1週以下のレース間隔で2戦続けて出走するというローテーションも経験したが、結果は出なかった。そして5月の都大路ステークス以降、レースから遠ざかっていたが、9月に障害試験を受験し、これに合格する。今度は障害で活動するかと見られた矢先、短期放牧先で腸捻転を発症、手術を行い、長期休養となる。

その後、2007年ダービー卿チャレンジトロフィーで復帰。復帰初戦は9着に敗れる。続いての谷川岳ステークスは13着に、連闘で出走した都大路ステークスでは果敢に逃げたものの、12着に敗れた。ここに至って陣営は、前年に断念した障害転向の道を選択。7月7日に障害未勝利戦に出走すると、2着に6馬身差をつける圧勝を収めた。これは2003年NHKマイルカップ以来、4年2ヶ月ぶりの勝利となった。その後、阪神ジャンプステークスに出走。スタートから先頭で逃げるものの、最後まで粘りきれず4着に敗れる。このレース中のアクシデントにより左前屈腱炎を発症。全治9ヶ月の診断が下されたため、現役を引退することとなり、11月20日付けで競走馬登録を抹消された[1]

競走成績

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以下の内容はnetkeiba.comの情報[2]に基づく。

競走日競馬場競走名距離(馬場[注釈 1]


オッズ
(人気)
着順タイム
(上がり3F)
着差騎手斤量
[kg]
1着馬(2着馬)馬体重
[kg]
備考
2002.10.05京都2歳新馬芝1600m(良)1311002.70(2人)01着R1:35.6(35.9)-0.20武幸四郎53(アイシースズカ)462
0000.10.26京都萩SOP芝1800m(良)1344004.80(2人)04着R1:48.4(35.7)-0.40武幸四郎55テイエムリキサン460
2003.01.18京都白梅賞500万下芝1600m(良)1612004.50(2人)05着R1:35.2(36.5)-0.10武幸四郎56ネオユニヴァース476[注釈 2]
0000.02.01京都こぶし賞500万下芝1600m(良)1624003.50(1人)11着R1:36.0(36.6)-1.60藤田伸二56スズノマーチ474
0000.02.15京都3歳500万下ダ1400m(良)16510003.90(2人)01着R1:26.6(38.3)-0.00武幸四郎56(コスモブレーン)474
0000.03.01阪神アーリントンCGIII芝1600m(重)1624011.40(7人)01着R1:36.8(36.0)-0.10武幸四郎56(エコルプレイス)472
0000.03.29阪神毎日杯GIII芝2000m(良)1311016.00(6人)08着R2:01.3(36.7)-1.40武幸四郎57タカラシャーディー474
0000.05.11東京NHKマイルCGI芝1600m(良)18816026.00(9人)01着R1:34.2(35.9)-0.20武幸四郎57(エイシンツルギサン)468
0000.10.25東京富士SGIII芝1600m(良)1824015.90(5人)07着R1:33.3(35.3)-1.30武幸四郎57ミレニアムバイオ474
0000.11.23京都マイルCSGI芝1600m(良)1836026.30(9人)15着R1:34.1(35.4)-0.80武幸四郎56デュランダル488
2004.03.22高知黒船賞GIIIダ1400m(不)1281200 - 0(3人)12着R1:29.2-2.80武幸四郎59ディバインシルバー482
0000.03.28中京高松宮記念GI芝1200m(良)18612045.4(10人)13着R1:08.6(34.7)-0.70武幸四郎57サニングデール482
0000.04.17阪神マイラーズCGII芝1600m(良)944023.60(5人)06着R1:34.0(35.2)-1.10岩田康誠59マイソールサウンド488
0000.05.16新潟新潟大賞典GIII芝2000m(稍)16611011.80(6人)04着R2:00.6(34.6)-0.10武幸四郎57マイネルアムンゼン484
0000.06.13東京エプソムCGIII芝1800m(稍)18818007.30(4人)13着R1:48.6(35.4)-0.70武幸四郎57マイネルアムンゼン482
0000.07.18小倉北九州記念GIII芝1800m(良)13313022.20(9人)07着R1:44.6(35.4)-0.50武幸四郎57ダイタクバートラム480
0000.08.01新潟関屋記念GIII芝1600m(良)1535011.70(5人)11着R1:33.2(34.8)-0.90武幸四郎57ブルーイレヴン480
2005.02.27阪神阪急杯GIII芝1200m(良)16612016.50(5人)03着R1:08.6(33.8)-0.10岩田康誠58キーンランドスワン490
0000.03.27中京高松宮記念GI芝1200m(良)1824018.60(5人)10着R1:09.2(34.4)-0.80吉田稔57アドマイヤマックス494
0000.05.15東京京王杯SCGII芝1400m(良)1835022.80(9人)13着R1:21.8(35.3)-1.50武幸四郎58アサクサデンエン486
0000.06.12東京エプソムCGIII芝1800m(良)17714021.30(6人)08着R1:47.3(35.1)-0.70内田博幸57スズノマーチ488
0000.10.29京都スワンSGII芝1400m(重)18818053.6(13人)03着R1:21.6(34.1)-0.10藤岡佑介58コスモサンビーム494
0000.12.25阪神2005ファイナルSOP芝1600m(良)1559006.70(4人)07着R1:36.8(34.4)-1.00藤岡佑介57ニューベリー498
2006.01.05京都京都金杯GIII芝1600m(良)1611037.7(14人)05着R1:34.4(34.5)-0.40藤岡佑介57ビッグプラネット498
0000.01.14京都淀短距離SOP芝1200m(不)15712005.90(3人)10着R1:11.5(35.8)-1.60安藤勝己57ギャラントアロー492
0000.02.26阪神阪急杯GIII芝1400m(不)15815015.20(6人)07着R1:23.8(35.6)-0.80吉田稔58ブルーショットガン496
0000.03.26中京高松宮記念GI芝1200m(良)18715072.6(17人)14着R1:08.8(34.1)-0.80中館英二57オレハマッテルゼ494
0000.04.22京都オーストラリアTOP芝1800m(良)12812025.70(6人)08着R1:47.4(35.2)-0.70岩田康誠58タガノデンジャラス492
0000.05.07京都都大路SOP芝1600m(重)12812007.10(4人)05着R1:36.3(37.4)-0.80佐藤哲三57ロードマジェスティ488
2007.04.01中山ダービー卿CTGIII芝1600m(良)1535100.0(14人)09着R1:33.8(35.4)-00.70勝浦正樹56ピカレスクコート494
0000.04.29新潟谷川岳SOP芝1400m(良)1612030.30(8人)13着R1:21.0(35.3)-0.90勝浦正樹57キンシャサノキセキ492
0000.05.06京都都大路SOP芝1600m(重)15714014.40(7人)12着R1:38.1(38.6)-1.70鮫島良太56スーパーホーネット494
0000.07.07阪神障害3歳上未勝利ダ2970m(良)12812004.70(3人)01着R3:19.2(13.4)0-1.00金折知則60(ブラックコンドル)496
0000.03.17阪神阪神JSJ・GIII芝3140m(良)1458004.00(3人)04着R3:29.5(13.3)-01.60金折知則60コウエイトライ492

種牡馬入り後

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近親にディープインパクトがいるなど、牝系に多くの活躍馬がいる血統背景が評価され、2008年シーズンより日高スタリオンステーションにて種牡馬として繋養・供用されていた。

種付け料は初年度から現在まで20万円(出生条件、牝馬無料)で、2008年に15頭、2009年に7頭の繁殖牝馬を集めている[3]。産駒は2011年にデビューした。エバーローズ(牝馬、母クレバーピーチ)が12月25日の中山競馬2歳新馬戦で勝利し、JRA初勝利を挙げた。

しかし2015年末で日高スタリオンが閉鎖されたため、福島県南相馬市の個人に譲渡され、2015年12月20日より福島県南相馬市西町ホースパークで繋養されている[4]。去勢されたのち、同市の伝統行事である相馬野馬追に参加すべく調教を受けている[5]。2016年に引退名馬繋養展示事業の対象となった。

エピソード

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2010年JRAが企画した、過去のNHKマイルCの勝ち馬から選ぶ東京スマイルプレミアムのメモリアルホース決定アンケートでは、エルコンドルパサークロフネなどの名立たる名馬達を押しのけ、最終的にメモリアルホースに選ばれたタイキフォーチュンに次ぐ95000票余りの支持を受けた。しかし一部ファンの多重投票の疑いもあり[6]、次週のアンケートから投票ページに「同一の方による複数の投票と思われるものについては、無効とさせていただく場合がある」という注釈がついた。

血統表

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ウインクリューガー血統(血統表の出典)[§ 1]
父系ヘイロー系
[§ 2]

*タイキシャトル
Taiki Shuttle
1994 栗毛
父の父
Devil's Bag
1981 鹿毛
HaloHail to Reason
Cosmah
BalladeHerbager
Miss Swapsco
父の母
*ウェルシュマフィン
Welsh Muffin
1987 鹿毛
CaerleonNijinsky
Foreseer
MuffitysThatch
Contrail

*インヴァイト
Invite
1986 鹿毛
Be My Guest
1974 栗毛
Northern DancerNearctic
Natalma
What a TreatTudor Minstrel
Rare Treat
母の母
Burghclere
1977 鹿毛
BustedCrepello
Sans le Sou
HighclereQueen's Hussar
Highlight
母系(F-No.)2号族(FN:2-f)[§ 3]
5代内の近親交配Northern Dancer5×3=15.63% Almahmoud5×5=6.25%[§ 4]
出典
  1. ^ JBISサーチ ウインクリューガー 5代血統表2017年9月5日閲覧。
  2. ^ netkeiba.com ウインクリューガー 5代血統表2017年9月5日閲覧。
  3. ^ JBISサーチ ウインクリューガー 5代血統表2017年9月5日閲覧。
  4. ^ netkeiba.com ウインクリューガー 5代血統表2017年9月5日閲覧。

ハイクレア一族の項目も参照。

脚注

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注釈

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  1. ^ 障害戦は直線のもの。
  2. ^ 3位入線5着降着

出典

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  1. ^ ウインクリューガー引退、種牡馬に”. ラジオNIKKEI. 2022年4月2日閲覧。
  2. ^ ウインクリューガー”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ. 2021年5月16日閲覧。
  3. ^ 2009年度の種付頭数〜日高スタリオンS編 - 馬市.comブログ
  4. ^ 人をにおいで判断する!? 南相馬市で暮らすウインクリューガー(1) - 佐々木祥恵 | 競馬コラム”. netkeiba.com. 2021年6月9日閲覧。
  5. ^ ウインクリューガー「相馬野馬追」参戦!平地G1馬登場は史上初 - スポーツニッポン・2016年3月1日
  6. ^ 善意のネット投票願う(若林隆宏) - 中スポ紙面(2010年4月10日

関連項目

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外部リンク

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