エルウェーウィン

エルウェーウィン(欧字名:L-Way Win1990年2月24日 - 2016年4月7日)は、アイルランドで生産された日本競走馬種牡馬[1]

エルウェーウィン
欧字表記L-Way Win[1]
品種サラブレッド[1]
性別[1]
毛色黒鹿毛[1]
生誕1990年2月24日[1]
死没2016年4月7日(26歳没)[2]
Caerleon[1]
ラスティックレイス[1]
母の父Rusticaro[1]
生国アイルランドの旗 アイルランド[1]
生産者Ermine Holdings[1]
馬主雑古隆夫[1]
調教師坪憲章栗東[1]
競走成績
タイトルJRA賞最優秀3歳牡馬(1992年)[1]
生涯成績40戦5勝[1]
獲得賞金2億4689万4000円[1]
勝ち鞍
GI朝日杯3歳S1992年
GIIアルゼンチン共和国杯1996年
テンプレートを表示

1992年朝日杯3歳ステークスGI)優勝馬である。その他の勝ち鞍に、1996年アルゼンチン共和国杯GII)。

戦績

編集

1992年10月18日京都芝1600メートルの新馬戦に出走し、岸滋彦を背にハナ差で初勝利。次走京都3歳ステークスはマルカツオウジャとの同着となり、連勝でGI朝日杯3歳ステークスへと駒を進める。もみじステークス、デイリー杯3歳ステークスを連続レコード勝ちのビワハヤヒデが圧倒的1番人気を集める中、エルウェーウィンは3番人気に支持され、レースでは岸がビワハヤヒデを選択したため代打騎乗となった南井克巳の手綱により、ビワハヤヒデをハナ差抑えて優勝、JRA賞最優秀3歳牡馬にも選出された。

4歳を迎えた1993年は内臓疲労[3]、脚部不安により長期休養を強いられ、秋に帰厩[4]。11月のトパーズステークスで復帰しトーワナゴンの2着としたのち、有馬記念に出走するがトウカイテイオーの13着に終わる。これ以降、マイルから中距離のレースに出走し、マイラーズカップ3着など好走も見せたが勝ち切るには至らず、レースを重ねるに連れ掲示板を外す回数が増えるようになった。

7歳となった1996年11月、アルゼンチン共和国杯に出走することになったが、この日の東京競馬場ではナリタブライアンの引退式が行われ[5]、ナリタブライアンの主戦騎手で引退式に参加していた南井が久しぶりに騎乗した[5]。エルウェーウィンは18頭立ての14番人気であったものの差し脚を見せて最後はトウカイパレスを抑え、朝日杯3歳ステークスから1434日、3年11か月ぶりとなる勝利を果たす[6][7]。これは中央競馬 (JRA) の当時の最長重賞勝利間隔記録でもあった[7][注釈 1]。 次走は有馬記念に出走するが、サクラローレルの13着。明け8歳となった1997年3月のオープン特別ブラッドストーンステークスでは勝利を収めるが、脚部不安を発症。9歳となった翌年に復帰するが、7戦して1度も掲示板に乗れないまま引退、種牡馬入りすることが決まった。

競走成績

編集

以下の内容は、netkeiba.com[8]、JBISサーチ[9]に基づく。

年月日競馬場競走名距離(馬場)


オッズ(人気)着順タイム
(上り3F/4F
着差騎手斤量
(kg)
勝ち馬/(2着馬)
1992.10.18京都3歳新馬芝1600m(良)104403.0(2人)1着1:37.9 (48.2)-0.0岸滋彦53(マルカカルメン)
0000.11.22京都京都3歳SOP芝1800m(良)85503.5(2人)1着1:49.7 (46.2)-同着岸滋彦54(マルカツオウジャ)
0000.12.13中山朝日杯3歳SGI芝1600m(良)1244012.2(3人)1着1:35.5 (35.2)-0.0南井克巳54ビワハヤヒデ
1993.11.28京都トパーズSOP芝2000m(良)155802.5(1人)2着2:00.8 (35.3)-0.0南井克巳55トーワナゴン
0000.12.26中山有馬記念GI芝2500m(良)14610022.0(8人)13着2:34.7 (38.4)-3.8南井克巳55トウカイテイオー
1994.01.30小倉関門橋SOP芝2000m(良)136901.8(1人)8着2:02.3 (37.8)-0.7岸滋彦56ワイドバトル
0000.03.06中京マイラーズCGII芝1700m(良)1122012.1(4人)3着1:40.9 (34.9)-0.3岸滋彦56ノースフライト
0000.12.11阪神ポートアイランドSOP芝1600m(重)1271003.9(2人)7着1:37.6 (36.6)-1.6上村洋行56フィールドボンバー
0000.12.25阪神六甲SOP芝2000m(良)96602.8(1人)3着2:02.2 (36.1)-0.3岸滋彦56インターマイウェイ
1995.01.08京都洛陽SOP芝1600m(良)165905.9(3人)9着1:34.4 (34.4)-0.8岸滋彦56エイシンワシントン
0000.01.29小倉関門橋SOP芝2000m(良)92204.2(3人)3着2:00.8 (35.9)-0.1岸滋彦56パッサカリア
0000.03.05京都マイラーズCGII芝1600m(良)105508.1(4人)3着1:35.5 (34.0)-0.1岸滋彦57ビッグショウリ
0000.04.23福島谷川岳SOP芝1800m(良)144603.6(2人)3着1:49.1 (37.3)-0.3岸滋彦56タイキブリザード
0000.11.12東京富士SOP芝1800m(良)933013.8(5人)7着1:48.7 (35.8)-1.2的場均57フジヤマケンザン
0000.11.12京都トパーズSOP芝2000m(良)107705.6(4人)3着2:01.2 (34.8)-0.3四位洋文56ユウトウセイ
0000.12.10阪神ポートアイランドSOP芝1600m(良)164804.4(2人)10着1:34.4 (35.3)-0.9岸滋彦55ニホンピロプリンス
1996.01.07京都洛陽SOP芝1600m(良)1648015.3(5人)4着1:35.6 (36.4)-1.0岸滋彦55フジワンマンクロス
0000.01.28小倉関門橋SOP芝2000m(良)96604.8(3人)2着1:59.4 (34.5)-0.3岸滋彦56トウカイサイレンス
0000.03.03阪神マイラーズCGII芝1600m(良)1446024.0(11人)8着1:34.3 (35.5)-0.8岸滋彦57ニホンピロプリンス
0000.03.17中京中京記念GIII芝2000m(稍)1636012.5(9人)9着2:03.0 (36.7)-0.8岸滋彦54イナズマタカオー
0000.04.20京都栗東SOP芝1800m(良)1534019.6(6人)12着1:48.1 (36.4)-1.9岸滋彦54オースミタイクーン
0000.05.04京都オーストラリアTOP芝1600m(良)1711064.1(11人)9着1:34.8 (35.2)-0.6岸滋彦55メイショウユウシ
0000.05.25中京テレビ愛知オープンOP芝1800m(良)16714044.3(11人)3着1:48.0 (34.9)-0.7岸滋彦56メイショウユウシ
0000.06.09中京金鯱賞GII芝2000m(良)1322040.9(10人)4着2:02.6 (36.7)-1.2石橋守57フジヤマケンザン
0000.07.21小倉北九州記念GIII芝1800m(良)13710011.8(7人)10着1:48.8 (35.2)-0.6岸滋彦54マジックキス
0000.08.11小倉小倉記念GIII芝2000m(良)1279016.0(7人)7着2:01.7 (35.4)-1.0岸滋彦56ヒシナタリー
0000.09.08阪神朝日チャレンジCGIII芝2000m(良)1122056.5(9人)6着2:00.2 (34.7)-0.7岸滋彦55マーベラスサンデー
0000.10.06新潟秋野SOP芝2000m(良)1411010.3(3人)7着1:59.4 (36.0)-0.4岸滋彦56トウカイタロー
0000.10.19京都カシオペアSOP芝2000m(良)1144024.9(6人)5着2:00.5 (34.5)-1.0岸滋彦56メジロスズマル
0000.11.02京都大原SOP芝2000m(良)1233013.0(6人)6着1:59.2 (34.0)-0.5岸滋彦54プレイリークイーン
0000.11.16東京アルゼンチン共和国杯GII芝2500m(良)1847050.0(14人)1着2:31.8 (35.7)-0.2南井克巳53(トウカイパレス)
0000.12.22中山有馬記念GI芝2500m(良)1411071.8(13人)13着2:37.2 (38.7)-3.4南井克巳56サクラローレル
1997.03.01中山ブラッドストーンSOP芝2200m(良)87707.4(3人)1着2:16.2 (35.9)-0.4的場均57(インターフラッグ)
1998.01.11京都洛陽SOP芝1600m(良)1559015.0(7人)14着1:35.9 (34.6)-0.8武豊58ホッコービューティ
0000.01.25京都日経新春杯GII芝2400m(良)1612035.9(7人)10着2:27.8 (36.6)-1.5O.ペリエ54エリモダンディー
0000.02.21東京ダイヤモンドSGIII芝3200m(稍)1636056.4(14人)12着3:19.6 (36.3)-2.0的場均55ユーセイトップラン
0000.05.02東京メトロポリタンSOP芝2300m(良)833029.0(6人)8着2:20.1 (35.7)-1.7石橋守58サンデーカイザー
0000.05.23中京エメラルドSOP芝2500m(良)988035.4(6人)7着2:32.5 (35.3)-1.0福永祐一58サンデーカイザー
0000.06.06中京テレビ愛知オープンOP芝1800m(良)15712104.5(13人)12着1:47.9 (35.6)-1.2石橋守58アンブラスモア
0000.06.21阪神鳴尾記念GII芝2000m(不)14711210.3(9人)10着2:05.5 (38.3)-1.9石橋守58サンライズフラッグ

引退後

編集

種牡馬入りしたものの活躍馬を出せないまま種牡馬登録を抹消され、はじめはオーナーの雑古とつながりがあった越田牧場で功労馬として繋養[6][10]、のち2010年4月北海道浦河町うらかわ優駿ビレッジAERU中山大障害優勝馬ケイティタイガーとともに移動[11]2011年3月からは[12]同年4月にオープンする乗馬クラブ及び引退馬牧場のホースガーデンしらおいで余生を送っていたが、2016年4月7日に病気のため死亡した[2]

血統表

編集
エルウェーウィン血統(血統表の出典)[§ 1]
父系ニジンスキー系
[§ 2]

Caerleon
1980 鹿毛
父の父
Nijinsky II
1967 鹿毛
Northern DancerNearctic
Natalma
Flaming PageBull Page
Flaring Top
父の母
Foreseer
1969 黒鹿毛
Round TablePrincequillo
Knight's Daughter
Regal GleamHail to Reason
Miz Carol

Rustic Lace
1981 芦毛
Rusticaro
1975 芦毛
Caro*フォルティノ
Chambord
RusticaRibot
Ruthin
母の母
Lacy Brief
1973 鹿毛
Roi DagobertSicambre
Dame d'Atour
MizzenNew Providence
Reply F-No.4-g
母系(F-No.)(FN:4-g)[§ 3]
5代内の近親交配Bull Page4×5[§ 4]
出典
  1. ^ [13]
  2. ^ [14]
  3. ^ [13]
  4. ^ [13][14]


脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 2006年2月にメジロマイヤー小倉大賞典で1457日ぶりの重賞勝利をして更新、その後、2010年にダンスインザモア福島記念で5年8か月ぶりに重賞を勝利して記録は更新されたが、メジロマイヤー、ダンスインザモアの両頭は間に勝利があるので、間に勝利をはさまない記録ではエルウェーウィンが最長であった。2021年にマカヒキ京都大賞典で間に勝利を挟まず5年28日ぶりに重賞を勝利してこの記録も更新された。

出典

編集
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p エルウェーウィン(IRE)”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年10月15日閲覧。
  2. ^ a b エルウェーウィン死す 26歳”. 中央競馬実況中継 競馬実況web. 日経ラジオ社 (2016年4月7日). 2019年10月15日閲覧。
  3. ^ #関西競馬四季報93年秋 p. 357
  4. ^ #関西競馬四季報94年春 p. 568
  5. ^ a b 白石俊「RACING DATA BASE 第34回アルゼンチン共和国杯 (GII)」『優駿』、日本中央競馬会、1997年1月、150頁。 
  6. ^ a b エルウェーウィンを訪ねて~うらかわ優駿ビレッジAERU”. 競走馬のふるさと案内所 馬産地コラム. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年10月15日閲覧。
  7. ^ a b 「今月の記録室『エルウェーウィンがアルゼンチン共和国杯で3年11ヵ月ぶりの勝利』」『優駿』、日本中央競馬会、1997年1月、160-161頁。 
  8. ^ エルウェーウインの競走成績”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年10月15日閲覧。
  9. ^ エルウェーウイン 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年10月15日閲覧。
  10. ^ 2003年12月 引退名馬 - 引退名馬、2016年4月7日閲覧
  11. ^ エルウェーウィンらが移動”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2010年4月19日). 2019年10月12日閲覧。
  12. ^ 2011年3月 引退名馬 - 引退名馬、2016年4月7日閲覧
  13. ^ a b c エルウェーウィン(IRE) 血統情報:5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年10月12日閲覧。
  14. ^ a b エルウェーエインの5代血統表”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年10月15日閲覧。

参考文献

編集
  • 「関西競馬四季報 1993秋季号」『競馬ブック』第14巻第3号、ケイバブック。 
  • 「関西競馬四季報 1994春季号」『競馬ブック』第15巻第1号、ケイバブック。 

外部リンク

編集