上村洋行

日本の騎手、調教師 (1973 - )

上村 洋行(うえむら ひろゆき、1973年10月23日 - )は日本中央競馬会 (JRA) 栗東トレーニングセンター所属の元騎手・現調教師。実兄の上村典久は調教助手

上村洋行
むらさき賞パドック(2023年5月28日)
基本情報
国籍日本の旗 日本
出身地滋賀県
生年月日 (1973-10-23) 1973年10月23日(50歳)
身長164cm
体重49kg
血液型O型
騎手情報
所属団体JRA
所属厩舎フリー
初免許年1992年
免許区分平地
騎手引退日2014年2月28日
重賞勝利10勝(中央)
G1級勝利スプリンターズステークス(2008年)
通算勝利7880戦570勝(中央)
調教師情報
重賞勝利5勝(中央)
G1級勝利1勝(中央)
通算勝利1086戦137勝(中央)
経歴
所属柳田次男(栗東)(1992年3月 - 1996年4月)
フリー(1996年4月 - 2004年11月)
藤原英昭(栗東)(2004年11月 - 2006年6月)
フリー(2006年6月 - 2014年2月)
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来歴

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騎手時代

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1992年栗東の柳田次男所属[1]騎手としてデビュー。同期には後藤浩輝横山義行らがいる。

競馬学校在学時より複数の教官たちから追う技術や騎手向きの性格を評価される[2]などデビューした当時から騎乗技術が高く、同年は京王杯オータムハンデキャップをトシグリーンで制するなど、新人ながら40勝を挙げた。

2年目には53勝を挙げ、若手ながら相当な実力を持った騎手として認知されるようになる。1994年には東京優駿でデビュー3年目ながら2番人気のナムラコクオーに騎乗している(6着)。なお、デビュー3年以内で100勝を達成している騎手は他には武豊[3]蛯名正義角田晃一藤田伸二福永祐一[3]武幸四郎秋山真一郎池添謙一北村宏司藤岡佑介川田将雅鮫島良太三浦皇成[3]らがいるが、競馬学校騎手過程8期生以降に適用された「デビュー3年以内でも100勝以上の騎手は減量されない」対象となった最初の騎手である[4]

また、主戦騎手が武豊に乗り替わる前のサイレンススズカゴールドアリュールと後にGI馬になる馬にも騎乗している。

その後もコンスタントに勝ちを積み重ねていたが、1990年代の後半ごろから以前ほどの勢いが落ちる。実はこの時、眼の病気(飛蚊症)を患っていたにもかかわらず治療をしないまま騎乗を続けていたという。それでも毎年10勝以上と2桁の勝ち鞍は挙げていたが、2004年に治療をするため騎乗を自粛。しばらくの間、手術をするため休養に入る。手術は3回行われ、ようやく視力が回復するに至った。

復帰後の2005年には42勝と若い頃に近い成績を残し、神戸新聞杯でストーミーカフェに騎乗した四位洋文に替わってシックスセンスに騎乗したり、エリザベス女王杯を連覇中だったアドマイヤグルーヴにも騎乗している。

2008年6月15日スリープレスナイトCBC賞を勝ち、実に10年ぶりのJRA重賞競走を勝利するとその後も同馬で北九州記念、さらにはスプリンターズステークスも制覇し、GI競走騎乗40回目の挑戦にして初勝利を挙げた。

2014年2月28日付をもって騎手を引退。

調教師時代

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騎手引退後は池添兼雄厩舎所属の調教助手として働きつつ、調教師を目指していた[5]2017年12月7日、JRAの2018年度新規調教師試験に合格した[6]。2018年3月1日付で調教師免許発効となる。2018年は技術調教師として角居勝彦厩舎、池江泰寿厩舎で研修を積んだ[7]。2019年3月1日付で厩舎を開業した[8]

2023年3月19日、管理するベラジオオペラスプリングステークスを勝利し、開業5年目で念願の重賞初優勝を達成[9]。同月26日の阪神11RでJRA通算100勝を達成[10]

2024年3月31日、ベラジオオペラが大阪杯を制し、GI初優勝を飾った[11]

不祥事

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2002年7月12日函館競馬場の調整ルーム食堂内にて上村は青木芳之と口論になり一方的な暴力行為に及んだ。裁決委員は13~14日の騎乗は不適当と判断。競馬施行規則第126条第20号「競馬の公正確保について業務上の注意義務を負う者として相応しくない非行のあった者」を適用し、上村に対し13日から21日までの騎乗停止処分を科した。

騎乗成績

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年度1着2着3着騎乗数勝率連対率複勝率
1992年403033398.101.176.259
1993年534441433.122.224.319
1994年505865546.092.198.317
1995年363740449.080.163.252
1996年698119.050.126.193
1997年212423328.064.137.207
1998年151618218.069.142.225
1999年231930318.072.132.226
2000年292736414.070.135.222
2001年141619286.049.105.171
2002年282724359.078.153.220
2003年141622278.050.108.187
2004年641195.063.105.221
2005年423332529.079.142.202
2006年242621438.055.114.162
2007年363741503.072.145.227
2008年303039483.062.124.205
2009年16239372.043.105.129
2010年333229471.070.138.200
2011年292522348.083.155.218
2012年1291644.044.078.137
2013年1037181.055.072.110
2014年323270.068.114.182
中央5705475897880.072.142.216
地方106656.179.286.393
日付競馬場・開催競走名馬名頭数人気着順
初騎乗1992年3月1日1回阪神2日2R4歳未勝利トシワイズ12頭34着
初勝利1992年3月28日1回中京7日6R5歳上500万円下スナークライナー14頭11着
重賞初騎乗1992年8月30日3回小倉6日11R小倉記念ダンツジュピター10頭99着
重賞初勝利1992年9月13日4回中山2日11R京王杯AHトシグリーン13頭101着
GI初騎乗1993年4月11日2回阪神6日10R桜花賞ショウザンダイヤ18頭1614着
GI初勝利2008年10月5日4回中山8日11RスプリンターズSスリープレスナイト16頭11着

主な騎乗馬

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その他

調教師成績

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日付競馬場・開催競走名馬名頭数人気着順
初出走2019年3月3日1回阪神4日3R3歳未勝利ブラッディムーン16頭33着
初勝利2019年3月9日2回中京1日12R瀬戸特別アイファーイチオー14頭91着
重賞初出走2019年3月30日3回中山3日11Rダービー卿CTエイシンティンクル16頭1213着
重賞初勝利2023年3月19日2回中山8日11RスプリングSベラジオオペラ16頭21着
GI初出走2021年5月9日2回東京6日11RNHKマイルCレイモンドバローズ18頭1215着
GI初勝利2024年3月31日2回阪神4日11R大阪杯ベラジオオペラ16頭21着

主な管理馬

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テレビ出演

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注釈

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  1. ^ JRA報道室 平成30年度 新規調教師のプロフィールについて”. 2023年3月30日閲覧。
  2. ^ 競馬騎手読本
  3. ^ a b c 2年目で達成
  4. ^ 藤田伸二ら競馬学校騎手過程7期生までは、デビューから3年間は勝利数に関わらず一般競走では1kg減で出走できた。なお、2016年に規定が改定され、従来は「デビュー3年以内でも100勝以上の騎手は減量されない」だったものが2年緩和され、「デビュー5年以内でも100勝以上の騎手は減量されない」に変更されている。また見習騎手に対する減量規定については、年によって異なるが、詳細は当該記事を参照のこと。
  5. ^ 上村が引退…目の病気克服し568勝、次は調教師の道へ - スポーツニッポン、2014年2月7日付
  6. ^ 平成30年度新規調教師試験、上村洋行元騎手など5人が合格 - ラジオNIKKEI・競馬実況web、2017年12月7日閲覧
  7. ^ 上村師、角居師のDNA「働きやすく風通しのいい環境を」”. スポーツニッポン. 2024年2月18日閲覧。
  8. ^ 新規開業調教師について”. 日本中央競馬会 (2018年12月17日). 2018年12月17日閲覧。
  9. ^ 【スプリングS】ベラジオオペラが鋭伸V!無傷3連勝で皐月切符獲得”. サンスポZBAT! (2023年3月19日). 2024年3月31日閲覧。
  10. ^ 上村洋行教師がJRA通算100勝 阪神メインの六甲Sで達成「みんなに支えられて達成できた」”. スポーツ報知. 2024年2月18日閲覧。
  11. ^ 【大阪杯結果】ベラジオオペラが激戦を制しGI初V! 上村洋行調教師もGI初制覇”. netkeiba.com (2024年3月31日). 2024年3月31日閲覧。
  12. ^ a b c 上村 洋行(調教師)|重賞勝鞍”. 競馬予想のウマニティ. 2024年1月28日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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