早稲田大学国文学会窪田空穂賞(わせだだいがくこくぶんがっかいくぼたうつほしょう)は、早稲田大学国文学会が設けている、日本文学研究に対して与えられる学会賞。学内学会でありながら、多くの著名な日本文学者を輩出していることで知られる。窪田空穂賞早稲田大学国文学会賞空穂賞とも。

沿革

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1968年(昭和43年)、早稲田大学教授・窪田空穂の遺族(窪田章一郎)から早稲田大学国文学会へ100万円(当時)の寄付が寄せられ[1]、この寄付を空穂先生記念事業基金として活用することが決まった[2]。その記念事業の一部として、早稲田大学国文学会窪田空穂賞が設置された[1][2]。受賞基準は、「学部卒業後約10年位までの研究者で、学会に印刷によって発表された論文・著書のうち、もっとも優れたもの1編(原則)」である[2]。ただし、複数の研究成果を「~の研究」として受賞対象とすることが多い。

受賞者

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受賞回受賞者受賞対象
第1回堀切実各務支考の研究
杉野要吉堀辰雄中野重治の研究
第2回松野陽一千載和歌集に関する研究
第3回中野三敏近世中期文学の研究
第4回雲英末雄貞門談林俳諧の研究
町田栄志賀直哉の研究
第5回該当者なし
第6回復本一郎「芭蕉における「さび」の構造」
第7回該当者なし
第8回該当者なし
第9回日下力金比羅本『平治物語』の研究
第10回該当者なし
第11回菅谷廣美『修辞及華文』の研究
徳田武読本の研究
竹本幹夫の演出史の研究
第12回関口安義豊島与志雄研究
第13回小峯和明今昔物語集天竺部の研究
三田村雅子枕草子の研究
第14回加藤定彦初期俳諧における季語・季寄の研究
第15回渡辺秀夫平安朝初期散文と漢詩文の研究
第16回三宅晶子能の作者別脚本構造の研究
中嶋隆西村本の書誌的研究
第17回石川一『拾玉集』伝本研究
第18回高橋世織大正期文学の研究―朔太郎・春夫・浩二など
吉田茂『四条宮下野集 注釈と研究』
第19回棚橋正博黄表紙の研究
吉原浩人八幡縁起の研究
第20回該当者なし
第21回坂本清恵近松浄瑠璃における胡麻章の研究
第22回吉井(小森)美弥子源氏物語の研究
前田雅之今昔物語集の構造に関する研究
第23回野中哲照保元物語の研究
佐藤勝明天和期蕉門の研究
第24回小野恭晴中世歌謡の研究
池澤一郎大田南畝を中心とする近世漢詩文の研究
第25回今井明藤原定家を中心とする中世和歌・歌学の研究
倉員正江浮世草子を中心とする近世小説の研究
第26回上野順子新古今時代和歌の研究
十重田裕一横光利一における映画的方法の研究
第27回浅田徹平安後期和歌に関する研究
今野真二中世国語資料を対象とした表記史的研究
第28回該当者なし
第29回河野貴美子日本霊異記と中国の伝承についての研究
菊池真平安時代散文作品における歴史意識の研究
井上和人西沢一風の研究
第30回井上優森鷗外研究―小説生成の磁場と表現方法をめぐる考察―
鈴木彰八坂本を中心とする平家物語の研究
第31回該当者なし
第32回該当者なし
第33回藤巻和宏長谷寺室生寺縁起をめぐる研究
井田太郞酒井抱一の研究
第34回寺島徹暁台の研究
第35回平田英夫神仏をめぐる中世和歌の研究
土屋有里子沙石集』の翻刻と研究
第36回土佐秀里上代和歌の研究
永田英理俳諧の研究
第37回金子俊之奥の細道』研究
名木橋忠大立原道造研究
第38回該当者なし
第39回小村宏史古代神話の研究
藤巻(田中)尚子三国志享受の研究
第40回山本亮介横光利一の研究
平浩一昭和初年代の文学状況の研究
第41回伊藤剣風土記の編纂と叙述の研究
第42回錺武彦鎌倉中期和歌に関する研究
小財陽平菅茶山を中心とする近世漢詩文の研究
第43回黒川桃子広瀬淡窓を中心とする近世後期漢詩人の研究
第44回該当者なし
第45回滝口明祥井伏鱒二研究
第46回該当者なし
第47回有馬義貴源氏物語と物語文学教材の研究
位田将司横光利一の文学理論及び創作の研究
第48回山中悠希堺本を中心とした『枕草子』の研究
第49回長田和也戯作の研究
第50回小林賢太平安後期私家集の研究
滝澤みか流布本『保元物語』『平治物語』の研究
第51回柳川響藤原頼長の研究
第52回木村迪子浅井了意の仏書と仮名草子の研究  
穴井潤平安末期私家集の研究
第53回荒井洋樹10世紀和歌成立史の研究
田部知季明治40年代俳句史の研究
山岡華菜子環大阪湾地域のおけるアクセント変化の研究

脚注

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  1. ^ a b 藤平春男「窪田空穂記念館の開館について」『国文学研究』第111巻、早稲田大学国文学会、1993年10月。 
  2. ^ a b c 早稲田大学国文科「空穂賞設立される」『わせだ国文ニュース』第12巻、早稲田大学国文学会、1968年12月、10頁。