1966年イギリスグランプリ

1966年イギリスグランプリ (1966 British Grand Prix) は、1966年のF1世界選手権第4戦として、1966年7月16日ブランズ・ハッチで開催された。

イギリス 1966年イギリスグランプリ
レース詳細
1966年F1世界選手権全9戦の第4戦
ブランズ・ハッチ (1960-1975)
ブランズ・ハッチ (1960-1975)
日程1966年7月16日
正式名称XIX RAC British Grand Prix
開催地ブランズ・ハッチ
イギリスの旗 イギリス (イングランドの旗 イングランド) ケント州
コース恒久的レース施設
コース長4.26 km (2.65 mi)
レース距離80周 341.18 km (212.00 mi)
決勝日天候曇 (ウエット→ドライ)
ポールポジション
ドライバーブラバム-レプコ
タイム1:34.5
ファステストラップ
ドライバーオーストラリアの旗 ジャック・ブラバムブラバム-レプコ
タイム1:37.0 (60周目)
決勝順位
優勝ブラバム-レプコ
2位ブラバム-レプコ
3位BRM

レースは全長4.26 km (2.65 mi)のコースを80周する341 km (212 mi)の距離で行われた。

20台が出走した新しい3リッター時代の最初のイギリスグランプリは、ブラバム・BT19英語版を駆るジャック・ブラバムが2週間前の前戦フランスグランプリに続いて優勝し、チームメイトのデニス・ハルムブラバム・BT20で2位となり、ブラバムは初の1-2フィニッシュを達成した。ブラバム勢は3位のBRM・P261英語版を駆るグラハム・ヒルに1周の差を付けた。

ブラバムはジム・クラークのイギリスグランプリでの連勝を4でストップした。

ドライバーズランキングは、ブラバムが2位のヨッヘン・リントクーパー)に10点差を付けて首位をキープし、ハルムとロレンツォ・バンディーニフェラーリ)が3位に続く。

レース概要

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フェラーリは、イタリア国内でのストライキの影響で本レースを欠場した[1]ベルギーGPのアクシデントによる負傷が癒えたジャッキー・スチュワートが復帰した[2]

前戦フランスGPはラッキーな勝利を得たブラバムレプコであったが、フェラーリが不在となったことで優位性は明らかなものとなり、ジャック・ブラバムポールポジションデニス・ハルムが2番グリッドを得た。イーグルダン・ガーニーが3番手でフロントローを獲得した[注 1]。以下、グラハム・ヒルジム・クラークが2列目、ジョン・サーティースヨッヘン・リント、スチュワートが3列目を占める[2][3]

レース前に雨が降ったが、路面が乾きだしてきたのでほとんどのドライバーがノーマルタイヤを使う中、リントとサーティースのクーパー勢はレインタイヤを使って、首位のブラバムに続く2-3位に浮上する。しかし、路面が乾いていくにつれて彼らはヒルとクラークの攻撃を受けて後退していく。ガーニーはエンジントラブルでリタイアした。ハルムはヒルとクラークに迫り、40周目に2位を取り戻した。クラークはブレーキが効かなくなりピットへ戻るが、コースへ復帰すると再びサーティースとリントを抜いて4位となった[2]

ブラバムが連勝し、ハルムが2位でブラバム・レプコが1-2フィニッシュを決め、3位のヒル以下を周回遅れにして他を圧倒するという展開であった[2]。クラークは4位に終わり、イギリスGPでの連勝は4でストップした。ブルース・マクラーレンが6位に入賞し、自身のチーム・マクラーレンは初のポイントを獲得した。本レースのみの参加となったシャノン英語版は、1954年にF1用として開発されていたがお蔵入りとなっていたクライマックスFPEエンジン(3.0L V8)を使用し、元ロータストレバー・テイラー英語版がドライブしたが、レース序盤でリタイアした[4]

エントリーリスト

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チームNo.ドライバーコンストラクターシャシーエンジンタイヤ
チーム・ロータス1 ジム・クラークロータス33クライマックス FWMV 2.0L V8F
2 ピーター・アランデルBRM P56 2.0L V8
オーウェン・レーシング・オーガニゼーション3 グラハム・ヒルBRMP261BRM P60 2.0L V8D
4 ジャッキー・スチュワート
ブラバム・レーシング・オーガニゼーション5 ジャック・ブラバムブラバムBT19レプコ 620 3.0L V8G
6 デニス・ハルムBT20
7 クリス・アーウィンBT22クライマックス FPF 2.8L L4
スクーデリア・フェラーリ SpA SEFAC8 ロレンツォ・バンディーニ 1フェラーリ312/66フェラーリ 218 3.0L V12F
9 マイク・パークス 1
クーパー・カー・カンパニー11 ヨッヘン・リントクーパーT81マセラティ 9/F1 3.0L V12D
12 ジョン・サーティース
クリス・エイモン 2
ブルース・マクラーレン・モーターレーシング14 ブルース・マクラーレンマクラーレンM2Bセレニッシマ 3.0L V8F
15 クリス・エイモン 3フォード 406 3.0L V8
アングロ・アメリカン・レーサーズ16 ダン・ガーニーイーグルT1Fクライマックス FPF 2.8L L4G
レグ・パーネル・レーシング17 マイク・スペンスロータス25BRM P56 2.0L V8F
26 ポール・ホーキンス 3BRMP261BRM P60 2.0L V8G
アングロ・スイス・レーシングチーム18 ヨアキム・ボニエブラバムBT7クライマックス FWMV 2.0L V8F
ギ・リジェ19 ギ・リジェクーパーT81マセラティ 9/F1 3.0L V12D
R.R.C. ウォーカー・レーシングチーム20 ジョー・シフェールクーパーT81マセラティ 9/F1 3.0L V12D
DWレーシング・エンタープライゼス21 ボブ・アンダーソンブラバムBT11クライマックス FPF 2.8L L4F
デヴィッド・ブリッジス22 ジョン・テイラーブラバムBT11BRM P60 2.0L V8G
シャノン・レーシングカーズ23 トレバー・テイラーシャノンSH1クライマックス FPE 3.0L V8D
J.A.ピアース・エンジニアリング・リミテッド24 クリス・ローレンスクーパーT73フェラーリ 168/62 3.0L V12D
チーム・シャマコ・コレクト25 ボブ・ボンドゥラントBRMP261BRM P60 2.0L V8G
ソース:[5]
追記
  • ^1 - フェラーリはイタリア国内でのストライキの影響で欠場[1]
  • ^2 - クーパーはリントとサーティースの2台のみを走らせることにしたため、エイモンが外された[6]
  • ^3 - マシンが準備できず[7]

結果

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予選

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順位No.ドライバーコンストラクタータイムグリッド
15 ジャック・ブラバムブラバム-レプコ1:34.5-1
26 デニス・ハルムブラバム-レプコ1:34.8+0.32
316 ダン・ガーニーイーグル-クライマックス1:35.8+1.33
43 グラハム・ヒルBRM1:36.0+1.54
51 ジム・クラークロータス-クライマックス1:36.1+1.65
612 ジョン・サーティースクーパー-マセラティ1:36.4+1.96
711 ヨッヘン・リントクーパー-マセラティ1:36.6+2.17
84 ジャッキー・スチュワートBRM1:36.9+2.48
917 マイク・スペンスロータス-BRM1:37.3+2.89
1021 ボブ・アンダーソンブラバム-クライマックス1:37.5+3.010
1120 ジョー・シフェールクーパー-マセラティ1:38.0+3.511
127 クリス・アーウィンブラバム-クライマックス1:38.1+3.612
1314 ブルース・マクラーレンマクラーレン-セレニッシマ1:38.5+4.013
1425 ボブ・ボンドゥラントBRM1:38.9+4.414
1518 ヨアキム・ボニエブラバム-クライマックス1:39.3+4.815
1622 ジョン・テイラーブラバム-BRM1:40.0+5.516
1719 ギ・リジェクーパー-マセラティ1:41.4+6.917
1823 トレバー・テイラーシャノン-クライマックス1:41.6+7.118
1924 クリス・ローレンスクーパー-フェラーリ1:43.8+9.319
202 ピーター・アランデルロータス-BRM1:54.3+19.820
ソース:[8]

決勝

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順位No.ドライバーコンストラクター周回数タイム/リタイア原因グリッドポイント
15 ジャック・ブラバムブラバム-レプコ802:13:13.419
26 デニス・ハルムブラバム-レプコ80+9.626
33 グラハム・ヒルBRM79+1 Lap44
41 ジム・クラークロータス-クライマックス79+1 Lap53
511 ヨッヘン・リントクーパー-マセラティ79+1 Lap72
614 ブルース・マクラーレンマクラーレン-セレニッシマ78+2 Laps131
77 クリス・アーウィンブラバム-クライマックス78+2 Laps12
822 ジョン・テイラーブラバム-BRM76+4 Laps16
925 ボブ・ボンドゥラントBRM76+4 Laps14
1019 ギ・リジェクーパー-マセラティ75+5 Laps17
1124 クリス・ローレンスクーパー-フェラーリ73+7 Laps19
NC21 ボブ・アンダーソンブラバム-クライマックス70規定周回数不足10
NC20 ジョー・シフェールクーパー-マセラティ70規定周回数不足11
Ret12 ジョン・サーティースクーパー-マセラティ67トランスミッション6
Ret18 ヨアキム・ボニエブラバム-クライマックス42クラッチ15
Ret2 ピーター・アランデルロータス-BRM32ギアボックス20
Ret4 ジャッキー・スチュワートBRM17エンジン8
Ret17 マイク・スペンスロータス-BRM15オイル漏れ9
Ret16 ダン・ガーニーイーグル-クライマックス9エンジン3
Ret23 トレバー・テイラーシャノン-クライマックス0エンジン18
ソース:[9]
ラップリーダー[10]

第4戦終了時点のランキング

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  • : トップ5のみ表示。ベスト5戦のみがカウントされる。

注釈

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  1. ^ 本レースのスターティンググリッドは3-2-3。

脚注

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  1. ^ a b (林信次 1995, p. 19)
  2. ^ a b c d British GP, 1966”. grandprix.com. 2019年4月23日閲覧。
  3. ^ Britain 1966 - Starting grid”. STATS F1. 2019年4月25日閲覧。
  4. ^ (林信次 1995, p. 29)
  5. ^ Britain 1966 - Race entrants”. STATS F1. 2019年4月25日閲覧。
  6. ^ The 19th British Grand Prix”. Motor Sport Magazine. 2019年4月25日閲覧。
  7. ^ Britain 1966 - Result”. STATS F1. 2019年4月25日閲覧。
  8. ^ Britain 1966 - Qualifications”. STATS F1. 2019年4月25日閲覧。
  9. ^ 1966 British Grand Prix”. formula1.com. 2013年10月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月26日閲覧。
  10. ^ Britain 1966 - Laps led”. STATS F1. 2019年4月24日閲覧。
  11. ^ a b Britain 1966 - Championship”. STATS F1. 2019年3月13日閲覧。

参照文献

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  • en:1966 British Grand Prix(2019年3月13日 22:40:44(UTC))より翻訳
  • 林信次『F1全史 1966-1970 [3リッターF1の開幕/ホンダ挑戦期の終わり]』ニューズ出版、1995年。ISBN 4-938495-06-6 

外部リンク

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前戦
1966年フランスグランプリ
FIA F1世界選手権
1966年シーズン
次戦
1966年オランダグランプリ
前回開催
1965年イギリスグランプリ
イギリスグランプリ次回開催
1967年イギリスグランプリ